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常にクリエイターでいたいがアーティスト傾向が高い人間の考えまとめ。自分が読み返して、面白かったりタメになったりしていますように

ホラー系小説「骨拾い」

#短編小説 #ホラー系

(個人的にホラー系小説をこしらえました。もちろん自分のオリジナルです。

本編の後に、どう言った経緯で書くようになったか記載しています。)

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それは、高校一年生になった頃の夏休みの出来事でした。
僕は急いで、近くの防波堤に向かって走っていました。

30分前、一人で家にいる時に電話が鳴ったので出てみると、それは先輩からでした。
緊張感を持ちながら次の声を待ってみると、突然「防波堤に行って骨を拾って来い」と言います。

僕の高校は上下関係が厳しく、下級生は上級生に対して「先輩」と呼ばなくてはなり、また絶対に言う事を聞かなくてはなりません。
その中でも先輩は特にそうで、逆らったら海に落とされたり、また素行も悪いことも学校に入ってから聞かされました。
だから気味の悪い内容と突然の電話も、「命令されているから従わなきゃいけない」と思うことにして、両親に電話してから一旦部屋に戻って骨を拾うためのバッグを持ち、ずっと使われていない隣の部屋を見た後に家を出ました。

防波堤に着くと先輩がいて、先輩は学生服でバッグを肩から前の方に掛けて、海をずっと見下ろしています。
声の掛け方が分からないままでいると、先輩は僕に向かってこう言います、「この下に骨がある」と。
僕は言われた防波堤の位置へ歩きます。
「誰の骨か?」は怖くて聞けず、水着に着替え、準備体操をした後、ゴーグルを付けて海に飛び込みます。

海の中は濁っており、目を凝らさないと良く見えません。
海の底に着きました。すると先輩の言う通り骨がありました。
骨をバッグの中に入れながら、腐った肉片が指と指の間からすり抜けます。
そして僕はこう思うことにしました。この骨は恋人のなんじゃないか?と。

先輩には別クラスにいる、同じ学年の恋人がいるんじゃないか?と、学校で噂になっていました。
時折先輩のクラスに現れ、そして夏休みになってから、先輩と一緒に町から姿を消したとまで言われてました。

僕は辺りも探索して、骨は全部拾ったと思い、海から出ることにしました。
先輩のいる防波堤の位置へと上がり、先輩を見ます。僕はバッグを開けて、骨を拾ったことを見せます。

すると先輩はバッグを見たまま長く沈黙を続けます。そしてこう言われました、「ありがとう」と。
突然、先輩の姿が消えてなくなりました。

僕はただただ驚きました。そして初めて気づきました。あの骨は僕の兄のだと。
先輩、つまり僕の兄は泳げない自分の代わりに拾って欲しかったのだと気づきました。

元々兄は僕に対しても普段から高圧的で、高校に入ってからそれは強くなりましたし、家にいないことも多かったです。
だから、兄のことは理解できないままでいました。

後日、僕の兄の恋人から、警察に「自分で殺した」と言う連絡が入ったことを聞きました。
僕の兄と防波堤で口論になり、素行の悪い兄から普段から身を守るために、元々隠し持っていたナイフで腹を何度も突き刺したようです。

そして証拠を隠すため服を全部剥ぎ取ってから海に落として、長い間身を隠していた。ところが兄の亡霊がずっと目の前に現れて、辛かったと言います。

兄は殺されてから、しばらく理解できなかったんだと思います。
兄なりに色々考えて家族の中で僕が良いと思って、電話で「骨を拾って来い」と言ったのが今日。海に落とされてから身体が腐敗するまで、ずっと受け止めきれていなかったことになります。(電話だったのは、刺された腹を見せたくなかったのかもしれません。)

もし僕が兄をきちんと理解していたら、こんな事件は起きなかったし、事件は起こり得たとしても、もっと早くに頼めたかもしれないと思いました。

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※経緯

仕事募集サイトでホラー系の話を書く人を募集していて、自分も応募しました。

それで応募案の中に自主的に「話のあらすじを考えました」と書いたら、「そしたら教えてもらえますか?」と言われたので、あらすじを見せたら、

叙述トリックの要素も求められていたので「どこが叙述トリックの部分か分からない」と言われ、ここが叙述トリックの部分だと返信したのですが、未読状態で返信もされていません。

それから返事の催促を促しても未読状態になりますし、(他の人を選んだ痕跡もない)、ああやって言っておきながら、勝手に使われることもあり得るので、緊急で本文化することにしました。